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映画「陽だまりの彼女」の結末について

見終わったあとの余韻が残るうちに、結末の考察を記しておく



【以下ネタバレ注意】

猫人間の真緒が猫としての寿命が尽きるとその存在も
猫人間真緒と接触した人間の記憶も、関係した物も行為も全て消えてしまう
ということは、これは老婆が猫を人間に変身させた際に出来たファンタジーの世界

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前提として
○ 真緒が猫として誕生した歴史、浩介起床am8:30のダメダメ社員の歴史・・・歴史A
○ 真緒猫が人間化した歴史・・・歴史A'
○ 猫人間真緒が消滅した後の歴史・・・歴史A"
○ 真緒が人間として転生した歴史、浩介起床am7:30のバリバリ社員の歴史・・・歴史B
● 真緒猫が人間化した時点・・・点1
● 猫人間真緒が消滅した時点・・・点2
● 真緒が人間として転生した時点・・・点3
● 人間真緒が目覚めた時点・・・点4

猫人間真緒が猫としての寿命を全うしてファンタジーの世界(歴史A')から消え
人間真緒が結婚指輪(ネックレス付き)を持って出現(点4)
人間真緒が出現したのは、真緒が人間として生きてきた世界(歴史B)
過去に遡っての人間としての転生は、老婆の力によるものか、真緒の浩介を想う気持ちによるもの

人間真緒には人間として生まれ育った記憶のほかに猫人間だったときの浩介の記憶を潜在意識または表面意識として持っている

浩介と猫人間真緒が過ごした世界は、浩介の現実世界に老婆が猫を人間に変身させたファンタジーの世界(歴史A')

よって、猫人間真緒の猫としての寿命が尽きると、ファンタジーの世界(歴史A')だけが消え、現実の世界(歴史A")だけが残るはずだったが、現実の世界(歴史A")の未来は訪れず、真緒が人間として生まれ育った世界(歴史B)の未来が訪れた

浩介の手の傷が消えていなかったということは
潜在意識であれ表面意識であれ、猫人間真緒の記憶は残っていたと言える
もっと言えば、手の傷が浩介から猫人間真緒の記憶を失わせないための道標となっていたはず

中学時代に浩介が猫人間真緒に分数を教えていたときに出てきた数字が15、6、3
15は浩介の年齢、6は猫人間真緒の猫としての年齢、3は中学3年であると推理すると、この数字が見事に一列に並ぶ
これをもとに浩介と真緒のイベントを時系列にしてみたのが次の表


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老婆が猫人間真緒に言った「12年だからな」の言葉にも合致する

浩介が25才のとき、偶然にも猫人間真緒と再会するが老婆が猫人間真緒に与えたラストチャンスだったのかも知れない
まさに猫人間真緒の猫としての寿命が尽きるギリギリのタイミング

二人は駆け落ちして結婚するが、浩介にしてみれば2ヶ月というあまりに短い結婚生活だった
猫人間真緒にとっては人間換算で10ヶ月

猫人間真緒が寿命を全うしファンタジーの世界(歴史A')と一緒に消え、過去に遡って人間として転生した世界(歴史B)で目覚める(点4)
そして、桜の咲く季節に浩介と再会する

真緒が過去に遡って人間として生まれたのは、猫として生まれるより以前となる
従って、真緒が人間として生まれた世界(歴史B)では、真緒は猫として生まれない

その未来では人間真緒になる仔猫を浩介はそもそも助けていないため手に傷がないことになる
しかし、浩介の手の傷は存在したため、猫人間真緒との行為はリセットされず、浩介には猫人間真緒の記憶が残っていたことになる

映画のラストに浩介が再会した真緒は、猫人間の記憶を持つ人間真緒
真緒の時間軸では、相対的に過去に遡って生まれていたとしても真緒には過去の記憶として残る

ラストに再会した真緒が同じように再び猫人間だったら、浩介も真緒も決してハッピーエンドにはならない
浩介と真緒に子供ができても、15年経てば真緒もそして今度は子供までも消えてしまうという悲劇が訪れる
次に再会するときは浩介は40才となるが、真緒と再会できたとしても子供と再会できるかどうかは分からない
よって、年を重ねるごとに不幸が増してしまう

また、結婚して子供を産み育てるためには戸籍や住民票が必要になる
再会する最低条件として、それらを取得しておかなければ、公的に結婚できないばかりか、出産も育児も子育てにも重大な問題が発生する

真緒が再び猫として生まれ人間に変身したとしても、老婆には猫人間真緒の寿命を猫本来の寿命より伸ばすことはできないし
また、猫人間真緒に生まれ変わりのチャンスが残り8回あるというのも、ことわざ上の話であり、本当のところは分からない

では、猫人間真緒は誰の元に生まれたのだろうか
おそらく、元警察官の渡来夫妻のところだろう

自分を育ててくれたことへの感謝
自分の短い生涯のせいで十分に親孝行ができなかったことへの無念さ
そういったものから
今度、人間として生まれてくるときは渡来夫妻の子として生まれ、恩返ししたいと願わないはずがない
そして、渡来夫妻は生まれてきた女の子にきっと真緒と名付けるはず

ファンタジーの世界(歴史A')の消滅後、現実世界(歴史A")の未来が少し変わっていた(歴史B)
浩介は猫人間真緒と出会うまでのダメダメ社員(歴史A)から、仕事のできるバリバリ社員(歴史B)に変わっていた

少し違う現実世界の未来は、真緒が人間として生まれた世界(歴史B)の未来へと繋がっている

渡来夫妻と人間真緒が家族であれば、渡来夫妻のところに来た仔猫は、ラストのシーンで登場した仔猫と同じ仔猫ということにもなる

転生した人間真緒は、学校でいじめられることもなく、成績優秀の才女として、クラスの中でも人気者になっていたに違いない
今度は東大に合格しているかも

最初から老婆がすべてをお見通しだったとすれば、猫人間真緒の容姿は、はじめから人間真緒の容姿に似せて変身させたとも考えられる

猫人間真緒の消滅後、浩介と渡来夫妻は路上で出会っているが、渡来の父親は浩介の顔を見て何か感じたようであった

おそらく渡来夫妻は浩介と人間真緒の結婚について、潜在意識として残る浩介の記憶からも、心の底より祝福してくれるだろう

再び出会った二人に幸あらんことを!






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by niranooyaki | 2015-07-22 21:17 | 本・映像・音楽